2023年7月から、電動キックボードの免許制度が大きく変わります。これまで免許が必要だった電動キックボードが、特定の条件を満たすことで免許なしで利用可能になるのです。この記事では、その具体的な内容と、この法改正により社会がどのように変わるか、またどのような問題が生じるかについて考察します。
免許不要の電動キックボードとは?
まず、免許不要となる電動キックボードの条件について説明します。
- 最高速度20km以下
- 車体の長さ190cm以下・幅60cm以下
かつ
以下の保安基準項目を満たす
上記の条件を満たすものが「特定小型原動機付自転車」と呼ばれ、免許なしで運転できるようになります。これにより、より多くの人々が電動キックボードを手軽に利用できるようになります。
ナンバープレートの取得や自賠責保険への加入はこれまでと同じく必要。あくまで上記基準を満たす乗り物が「特定小型原付自転車」とされ、免許が不要となります。電動キックボードに係る規制が全て撤廃されたというわけではない点は注意が必要です。
社会への影響
この法改正により、電動キックボードの利用者が増えることは間違いありません。特に都市部では、電動キックボードが新たな移動手段として注目を集めるでしょう。通勤や通学、買い物など、短距離の移動に便利な電動キックボードは、都市の交通状況を大きく変える可能性があります。
しかし、一方で新たな問題も生じる可能性があります。例えば、電動キックボードの運転マナーについては、現在まで十分なルールが確立されていません。歩道を走行する際の速度制限や、他の歩行者との共存方法など、新たなルール作りが求められるでしょう。
フランス、パリでの禁止理由
フランス、特にパリで電動キックボードが禁止された理由は、主にその使用に関する問題と安全性の懸念によるものです。
まず、電動キックボードの使用が急増した結果、歩道上での乱雑な駐車や違法な走行が問題となりました。これらの行為は他の歩行者や交通参加者に危険を及ぼす可能性があり、多くの苦情が寄せられました。特に、歩道での高速走行や複数人乗りは大きな問題となり、これにより歩行者の安全が脅かされました。
また、電動キックボードに関連する事故も増加しました。フランス全土で24人の死亡事故が発生し、パリでは459件の事故が報告されました。これらの事故は、電動キックボードの安全性に対する懸念を高め、規制強化の必要性を浮き彫りにしました。
これらの問題を解決するために、パリ市は電動キックボードのシェアリングサービスを制限し、特定の事業者のみに許可を与えました。また、最高速度や駐車場の設定など、使用に関する厳格なルールを設けました。しかし、これらの対策も問題を完全に解決するには至らず、最終的には市民投票により電動キックボードの禁止が決定されました。
事故への懸念
また、電動キックボードの事故についても懸念があります。免許不要となると、未経験者や子供が運転する機会が増え、事故のリスクが高まる可能性があります。そのため、安全教育の普及や、適切な保険制度の整備も重要となるでしょう。
電動キックボードを使用する際には、以下のような保険に入ることを検討すると良いでしょう。
- 自賠責保険(必須): 電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分になります。これに該当する場合、自賠責保険の加入が必須となります。自賠責保険は、電動キックボードの運転中に他人に損害を与えた場合に、その賠償責任を補償する保険です。
- 任意保険: 自賠責保険は基本的な補償内容しかカバーしていません。したがって、より広範な保護を求める場合は、任意保険の加入を検討すると良いでしょう。任意保険は、自賠責保険の補償範囲を超えた損害や、自己に対する損害(自己事故)も補償します。
- 傷害保険: 電動キックボードの運転中に自身がケガをした場合に備えて、傷害保険に加入することも考えられます。傷害保険は、事故による治療費や入院費を補償します。
これらの保険は、電動キックボードを安全に楽しむための重要な要素です。保険の詳細や補償内容は、保険会社によって異なるため、自身のライフスタイルやリスクに合わせて適切な保険を選ぶことが重要です。
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2023年7月の電動キックボードの免許制度改正は、私たちの生活に新たな風景をもたらすことでしょう。一方で、新たな問題も生じる可能性があります。それらの問題に対応するためには、ルール作りや安全教育の普及、保険制度の整備など、さまざまな対策が求められます。
しかし、これらの課題を乗り越えれば、電動キックボードは私たちの生活をより便利で楽しいものにしてくれるでしょう。都市の風景が変わる日もそう遠くないかもしれません。今後の動向に注目しましょう。
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